絨毯1 絨毯2 歴史 風土 人々 言葉 音楽 shop

アフガニスタンの食

 

 アフガンの人達の一般的な主食は小麦粉を練ったものを窯で焼き上げて作ったナーンが一般的です。日本人が食事を「ご飯」と云うように、彼らにとっても「ナーン」は食事と同義語になっています。ナーン自体はインドやパキスタンで見られる水滴型や楕円(ナーン屋によって大きさや形は若干異なります。)のものやトルコ系のトルクマン、ウズベクの人たちが食べる真ん丸のどっしりしたものとバラエティーにとみます。いずれにしろ焼きたてのナーンは香ばしく実においしいです。



 アフガン人の朝食はたいていナンとたっぷり砂糖を入れた緑茶だけのシンプルな物ですが、ゆで卵や卵焼きも時々食べるようです。3枚目の写真はマライという乳製品で砂糖と混ぜてナンにつけて食べます。

 

 ナーンのおかずに食べられるものにカレーがあるのですが、これは主素材の名前で呼ばれるものが多く(ジャガイモ、ひよこ豆など)実際にはカレーとは呼びませんが「カレーのようなもの」としてイメージ頂くとわかりやすいと思います。アフガンの人々の大多数はムスリムなので豚は食べず羊、牛、山羊や鶏などの肉が食べられます。魚に関しては地域によっては川魚を食べる事もあるようですが大きな河のそばで暮らしてない限りは一般的とは言えないようです。
 おかずになる物を「カレー」とは表現しましたが、インドやパキスタンのカレーと比べると香辛料の使い方がかなり控えめで、素材の味を活かした味付けのように思います。                        よく食べる素材はジャガイモ、トマト、瓜、カブ、人参、カリフラワー、各種豆類と云ったところでしょうか。しかしながらパキスタンに住むアフガン人たちの食生活には随分地元の影響があるようです。



 カレー以外のおかずにはカバーブと呼ばれる串焼きがありご馳走の一つです。平べったい鉄の串に羊の肉を刺して炭で焼いた物が店先で売られています。イートイン、テイクアウェイ共に可能です。肉の種類は羊肉3片に脂身1片が刺さったシーク(フ?)カバーブ、3個の羊の肉団子にトマトが刺してあるシャミカバーブ、他にレバーのカバーブもあります。
 上の写真でお茶と一緒に写っているのは持ち帰りのシャミカバーブでナンで包んで新聞紙でくるんでくれます。そのとなりの写真は羊肉のハンバーグでチャプリカバーブです。持ち帰りの時はチャプリカバーブ2枚とフライドポテト、サラダをナンで包んでくれます。

 

 小麦のナーン同様お米もよく食べられますが、こちらは小麦と比べると若干値が張るためごちそうで。プラウと呼ばれる肉と干しぶどうやトマト、人参などを炊き込んだご飯が一般的です。このプラウも各部族,各家庭,また調理する人により微妙に味の違いがあるので、どこでご馳走になっても違う味を楽しめます。(ちなみに筆者はプラウに入ったブドウが苦手で....)



 上の写真はプラウを作る過程で炊く時に水分を多くして、おじや風に仕上げたショーラという料理です。

 よくお昼に食べられる(もちろん夜にも食べますが)「ショルバ」というスープがあります。これは、鶏,羊や牛の肉とトマト、ジャガイモ、カブなどの野菜を煮込み。塩のみで味付けしたスープですが、アフガンの人達はこのスープを食べるとき、まず中の具を別の皿にもり、残ったスープの中には細かくちぎったナーンを入れて食べます。つまり、一つのスープで二つのおかずが出来る訳ですね。
 


 その他には、小麦でうった麺や厚手の餃子の皮を使って調理をした「アッシュ」という料理で、豆入りのヌードルスープや厚めの皮の肉餃子(マント−)にヨーグルトソースをかけた料理などいろいろありますが、これら小麦を加工した物を使った料理を総称してアッシュと呼んでいるようです。筆者がご馳走になったのは、大きな皿に大盛りにした羊の肉餃子の上にトマトと羊の脂で作ったソースをたっぷりかけたものでした。
 上の写真は左からマントー、ヨーグルトソースをかけたマカロニ、次がなすをトマトと調理した上にヨーグルトソースをかけたボラニー・バンジャーン、最後がツで他ジャガイモなどを小麦粉の皮で包んで揚げたボラニーです。ちなみにボラニー・バンジャーンとボラニーは同じ字ですが、ラの音がRとLで発音が異なります。

 また、パキスタンからアフガニスタンの東部にかけてよく食べられる料理でカライがあります。カライと云うのは写真のような鉄鍋の事ですが、その鉄鍋でそのまま出すので料理名もカライと呼ばれています。ニンニク、ショウガ、タマネギ、トマト、唐辛子そして肉をカライで蒸し焼きにした料理です。 




 夏の暑い盛りのお昼に、脂っこい物が辛い時はその時期旬の果物(ブドウ、メロンなどの甘い物)とパニールというカッテージチーズをナーンと一緒に食べる事がよくあります。夏の暑さに負けて食欲が減退している時でも、不思議とたくさん食べる事が出来てるのでとても助かる一品です。ちなみにブドウは種無しで皮ごと食べれる少し小さめのものです。

 サイドディッシュとして野菜もサラダやスープにしてよく食されます。トマト、キュウリ、たまねぎ、大根などを薄切りにしたものにレモンを搾って塩で食べるサラダが必ずと言っていいくらい食卓に出されます。他にプレーンヨーグルトもよく食べます。
 食後や食間には果物が好まれます。バナナ,オレンジ、りんごといった果物や地元で穫れるザクロ、スイカ、ぶどう、メロンが一般的です。特にメロンやブドウは大昔からそのおいしさが有名で、アレキサンダー大王がこの地域に侵攻してきた時の記録にも残る程です。温室栽培等の人工的な手法を利用しないため,果物にせよ暖かい(暑い?)季節に美味しい物がでまわります。
 フレッシュフルーツのほかには各種の木の実がよく食されています。街のナッツ屋では一年を通じてピスタチオ、アーモンド、ピーナッツ、くるみなどの木の実や干しぶどう、干しアンズ、干しイチジクなどのドライフルーツで店頭を賑わします。秋口には干しメロンなんていうのも売ってたりします。
 またアーモンドやピーナッツのまわりを砂糖でコーティングした「ノッコル」というお菓子はお茶請けとしてとても人気があります。これは現地で食べると美味しいのですが日本に連れて帰ると湿気の関係で周りの砂糖が溶けてべたべたに.......。


 以上おおまかにアフガン人のよく食べる料理や食材を書き並べてきましたが、彼らの家に食事に呼ばれると、部屋に上がるなりすぐにお茶と茶請けのお菓子がだされます。
 お茶を飲みながら話をしていると、温かいお湯の入った手洗い用の水差し(アフターバ)と手を洗ったお湯を受ける洗面器のような物(ラガン)がもってこられます。これは基本的に食事はフォークやスプーンなどを使わず手で食べるので、食事の前に手を洗うためにこの様にもてなしてくれます。もちろん食事の後にも手についた油をおとすための石けんと共にこのもてなしが再びなされます。
 食事風景ですが広間や屋外にダスタルハーン(もしくはサチャック)とよばれるテーブル代わりの食卓布を敷き、その上にのせた大皿からみんなで食べます。このときスープ以外は手で食べるのですがナーンを適当な大きさにちぎりおかずをすくい、ご飯は小さくまとめてそのまま口へ運びます。(筆者はいつまでたってもコレが上手に出来なくてボロボロとカミーズの上にこぼして大量のシミをつくています。)ちなみにスープはナーンを細かくちぎってスープのボールの中にいれて、スープのほとんどをナーンがすった状態になったところを手でつまんで口に運びます。それと手で食いたくない時は聞けばスプーンくらい出してくれます。
 食べ終わるとみんなで御馳走様のお祈りをしておしまいです。その後は再びお茶とお菓子がだされ談話が始まります。

 アフガンの食生活を語る上でお茶の話をはずすわけにはいきません。人の集まるところにお茶があり,お茶のあるところに人が集うといっても過言ではないくらいに彼らの生活には、お茶は欠かせない物なのです。
 『何はともあれ、まずおちゃを』よそのお宅に呼ばれた時、友達が遊びにきたとき,商談をする時とお茶なくして社会はまわっていかないのではと思うくらいです。ふらりと一人で茶店に寄った時でも茶店は必ず2つ茶碗を用意してくれます。それはいつ何時知り合いが通りかかるかわからないから.........。
 お茶の事を総称して「チャイ」といいますが、緑茶、紅茶、ミルク入りの紅茶の3種類があります。ミルクティーはトーレチャイ(パシュトゥー語)、シールチャイ(ダリ語)と呼ばれ、茶店ではサモワールで沸かしたお湯で紅茶をにだし、温めてあったミルクを混ぜてパキスタンではドゥードパッティーと呼ばれる火にかけて一度吹きこぼしてから飲むスタイルで、最初からたっぷり砂糖を入れるので、砂糖とミルク入りのチャイを別々にする様に注文しないとものすごく甘いチャイを飲まなくてはいけなくなります。ブラックティーは黒いお茶(シーアチャイ)と呼ばれますこれも言わないとたっぷりの砂糖入りです。
 そして紅茶以上に好まれているのが緑茶です。シンチャイ(パシュトー語)、サブズチャイ(ダリ語)と呼ばれます。この緑茶は半々発酵の日本の緑茶と半発酵の中国のウーロン茶などとの中間のような気がします。パシュトゥーン人はカルダモンと砂糖を入れるのを好みますがトルクマンやウズベク、タジークのひとたちは砂糖を入れずに飴玉やキャラメル、黒砂糖の小塊などをなめながら飲むのを好みます。カルダモンと砂糖入りの緑茶なかなかいけます。一度お試しあれ。



 パキスタンよりのジャララバードなどは通貨としてパキスタンルピーが使われるなどパキスタン文化圏にはいるためミルクティーも飲みますが、カブールや西部、北部アフガニスタンではミルクティーはあまり飲まず緑茶がほとんどです。朝食のとき以外は砂糖も入れず、飴やキャラメルを舐めながら緑茶を飲みます。
 カブールではチャイハナと呼ばれる茶店はほとんどなく、道路にブリキのサモワールを置いて皆が持って来たポットにカルダモン、茶葉をいれお湯を注いでくれる店があるのみです。地方に行けば昔ながらのチャイハナに出会えます。

 この他に果物をミキサーにかけたフレッシュジュースやバータル(ボトルのなまったもの)と呼ばれるている清涼飲料水(ペプシやコカコーラなど)も飲まれますが、やはり一日に飲まれる量はお茶が一番です。暑い季節には水分補給に、寒い季節は冷えた体を温めるために、そして何よりも楽しい会話のお供にはお茶は欠かせないものです。

付録:アフガン風炊き込みご飯のレシピ

材料5人分:
    米    1.5kg 
    タマネギ 小2個
    肉    2 kg (羊、鶏、牛、好みで)
    トマト   小3個
    ニンニク  2〜3かけ
              ショウガ 少々
               塩      適量
              好みで人参、ジャガイモなどの野菜

・米はインディカ米がベストです。





・野菜を細かく切ります。今回つくってくれたのは
 ウズベクの人達です。






・圧力鍋(これが大事です。)に油を適量。





・油が熱したらタマネギ、ニンニク、ショウガを入
 れ、タマネギが飴色になる迄炒める。
・つづいて肉を入れ色がつく迄炒める。



・次にトマトと他の野菜を入れ具材が浸るくらい水
 を入れしばらく煮込みます。





・野菜が煮えたところに米を入れ、水を米から人差
 し指の第一関節くらい迄いれる。
 (日本米の場合は水を少なめにします。)
・圧力鍋のふたをして、シュッシュいいだしてから
 10分 炊きます。


・ 圧力が抜けたら完成です。





・大皿に盛ってできあがり。