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サイト開設までのお話

  このサイトを始めて、アフガニスタンの紹介や絨毯・雑貨の販売をしてきましたが、このたび岡山県高梁市で絨毯織り,絨毯・キリムの修繕をする工房を始めました。
 工房での展示はしていませんが、引き続きネットでの販売とともに展示販売等いたします。またアフガニスタンの情報も随時更新していきますので今後とも宜しくお願い致します。
 
 このサイトの概要として、このサイトを開設するに至った経緯を少しお話しさせていただきます。
 私が25才になる年、パキスタンのペシャワール大学エリア・スタディー・センターでアフガニスタンのダリ−語を学んでいました。当時ペシャワールにはアフガニスタンでの戦争を逃れ、数百万人のアフガン人が暮らしていました。
 その頃のペシャワールは世界各国からのアフガニスタンへの支援物資や支援金が集まり、また多くの国からジャーナリストや傭兵、物見遊山の旅人が集まる戦争景気に沸く街でした。
 もともとペシャワールのある州はアフガニスタンで多数を占めるパシュトゥーン人の州なので、そこに避難したアフガンのパシュトゥーン人やタジク人、ハザラ人,トルクマン人、ウズベキ人などの各民族が混在して、パシュトゥーン人の話すパシュトゥー語とタジク人他の話すダリ−語が飛び交い、ほぼアフガニスタンの街の様相を呈していました.街はペシャワールの人の店に混じって、アフガン人の土産物屋、絨毯屋、レストランや多くの日用品屋が営まれ、路上では多くの屋台がたち並び活気に満ち溢れていました。

 アフガニスタンのぺルシャ語方言のダリ−語の勉強のためには都合のいい環境で、結果ダリ−語を話すアフガン人との付き合が増え、友人も増え始めた頃、当時私が部屋を借りていたカイバルホテルで、下の階に住んで絨毯のリペアーの修行をしていたフランス人の紹介で、彼の師匠であるスーフィーと呼ばれるアフガン・タジク人の絨毯商と知り合いました。
 紹介された次の日からスーフィーの店に通い、毎日何時間も彼の店で過ごすようになりました。彼から聞く絨毯の話や絨毯を修繕する彼の仕事を見ている内にどんどんアフガン絨毯に魅了されていきました。というのもスーフィーの絨毯に関する知識は他の絨毯商が一目置く程で、夕方になると頻繁に近所の絨毯商がスーフィーの店に集い、お茶を飲みながら絨毯談義が開かれていました。部屋の中央に敷かれた一枚の絨毯を囲んで、何時どこでどの部族が織ったとか、ウールはどの羊だの柄の意味はだのその絨毯の持つ情報を探り合い、解らない所はスーフィーに訪ね彼の意見を聞いていました。そんな魅惑的で楽しい毎日の中、私も絨毯の織り方やリペアーの仕方を習い始めスーフィーの弟子の一人として通うようになりました。
 彼の店には絨毯商だけではなく絨毯の織り子、クリーニング屋などの絨毯関係者から、ムッラーまで色んな人の出入りがあったので、絨毯の話だけではなく歴史や文化、アフガン人の日常生活など沢山の話を聞きました。ときにはスーフィーの友人のミュージシャンが来てアフガン音楽を演奏したりしていました。その時のミュージシャンの一人は今では私のラバブの師匠です。
 スーフィーを中心に多くのアフガン人と交わるなかで、アフガン人に対する興味は増し、延べ五年に及ぶ滞在から帰国した後もペシャワール通いは今でも続いています。初めてペシャワールを訪れてから30数年の間、アフガニスタンではソ連軍の撤退後のムジャヒディンどうしでの内戦、タリバーンの台頭からの支配と厳しい状況が続き、アフガン難民への帰国の道は閉ざされたままでした。
 そして9・11のテロ、その結果タリバーン政権が崩壊し、その後の緩やかな復興のなかでペシャワールから本当に多くのアフガン人が祖国での生活に戻っていきましたが、アフガニスタンは未だ平和と呼ぶには程遠い状態が続いています。
 ソ連軍の侵攻以来世界の注目を集めてきましたが、今では忘れられた感のあるアフガニスタンの事を少しでも知ってもらえたらと思い、このサイトをたちあげて十年以上が経ちました。何かをしようとか何かが出来るとか何かをして欲しいとかいうことではなく、40年以上も日々命の危険を感じながら、未来の平和を見据えて必死に生きている人達の営みや変わらぬ文化が遠くアフガニスタンと云う国で生き続け繋がれている事、そういう国が在るんだと云う事を知って頂ければ何よりだと思いこのサイトを開設しました。

 遠き国アフガニスタンの文化を幾らかでも肌で感じて頂けるよう、床に一枚敷くだけで空間を変える力を持つアフガンの絨毯・キリムを取り揃えています。ちょうど良い”間”をもって並べられた柄は日本人の美的感覚に似ていますし、長年の使用に耐える良質で、柔らかいウールで織られた肌触りの良い敷物、またその他に遊牧民の刺繍、日用品等も販売しています。また遊牧民のテントも取り扱っていますので商品のページとともにぜひご覧下さい。

 質問等ございましたらぜひメールして下さい。